ベジタブルな尻

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神保町シアターでミュウツーの逆襲観たよ

はい。今更前回の続きです。来年に持ち越すのはどうかと思ったので。

 

pan2marumie3.hateblo.jp

 

前の記事は『ピカチュウのなつやすみ』について取り上げましたが、今回は『ミュウツーの逆襲』についてです。1998年当時の劇場でもまず『なつやすみ』を流した後に『逆襲』が流れるという順番となっており、今回の神保町シアターにおける上映も当時のフィルムをそのまま流しているようでした。

『なつやすみ』は映像の画角がスタンダードサイズ(4:3)となっているため、劇場の横長スクリーンに投影する時に余白ができてしまうのですが、その余白を隠す為にカーテンが閉まったということは、前の記事でお伝えしました。そして前述の通り『なつやすみ』が終わるとそのまま『逆襲』が始まるのですが、『逆襲』の画角であるビスタサイズ(1.85:1)、つまり横に長い映像に合わせて劇場のカーテンが開いていきました。これ以降は、そのまま『逆襲』が上映されたのですが、ここで特筆すべきはこの『逆襲』が劇場公開版であるということでしょう。

前の記事の冒頭でも劇場公開版がレアであるということについては軽く触れていますが、ここで改めて説明。『ミュウツーの逆襲』という作品はまず1998年に日本で劇場公開されました。これがしばらく映画館上映された後、各家庭で見るための映像ソフト(VHS/LD)が発売されています。ここまでは一般的な映画となんら変わらないのですが、当時のポケモン人気はどうやら国内は勿論、海外でも相当な物だったようで、『逆襲』は海外でも上映されることが決定していました。

この海外で上映された物は、国内版にはなかったシーンや特殊効果が多数追加されており、その中でも特に大きいのが前日譚部分の追加だと言えるでしょう。まず、海外に輸出されるまでに国内で『逆襲』の前日譚に当たる『ミュウツーの誕生』という作品がラジオドラマとして制作されました。この作品の内容を基に再構成した物が、海外版では冒頭に追加されることとなりました。そしてこの海外版で追加された内容を逆輸入する形で、国内向けに吹き替えを施したバージョンが、1999年の7月、次作である『ルギア爆誕』の公開前特番としてテレビ放送されました。この時に付けられた副題が『完全版』で、これ以降世に出る『逆襲』は全て完全版となったのです。

全て完全版となったということは、それ以前の劇場公開版はもう世に出ることは無くなったということでもあり、いま劇場公開版を視聴するためには当時発売されたVHSかLDを中古で買うしかありません。だからこそ、劇場公開版はレア物となっているわけで、一応観ることができるVHS/LDも画質が今の基準からするとはっきり言って劣っています。単純に考えて完全版の方が良いんじゃ?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、完全版が作られるに当たって追加された特殊効果は当時はまだまだ発展途上の物も多く、むしろ劇場公開版の方が良く見える部分が多いんですよね。例えば

このカットなどはそれが顕著で、完全版は作画こそ整っていますが拡大処理の安っぽさが今観ると目立っている一方で、劇場公開版の一コマ一コマ描かれた作画のほうが動きが良く見えると私は感じます。まあ、こういった優劣抜きにしてバージョン違いに価値を見いだせるマニア的な興味の方が私は強いのですが。

そしてやっと神保町シアターの話に戻りますが、この劇場公開版がしかもフィルムで上映されるとなれば、もしかしたら今後チャンスは二度ないレベルの貴重な機会でした。かなり簡潔かつ雑に話しますと、劇場公開版が収録されたVHSの画質がYouTubeでいうところの480p画質とするならばフィルムに記録されている画質は4K画質かそれ以上の物だと言えるかと。以前商品化された『逆襲』のHDリマスター版は当然完全版なので、高画質な劇場公開版を観れるのはフィルム上映しかないのでした。神保町シアターさんありがとう!

映像の差は先程紹介した演出の違いもありますが、色合いもかなり異なっています。

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完全版(DVD収録)と劇場公開版(LD収録)の比較。画像は昔拾った物を勝手に引用。

見ての通り完全版はやや黄色っぽいのに比べて劇場公開版の色は青っぽくなっています。実は私完全版はHDリマスター版しか所持しておらず、いつから完全版の色合いが黄色くなったとかは詳しくないのですが、とりあえず最初に発売されたDVD版の時点で既に何らかの理由で色調補正が施されていたようです。一応、以下にHDリマスター版の同カットを。

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HDリマスター版はいい感じの色に補正されてるので正直そこまで参考にはならないかも。

私の好みとしては劇場公開版の鮮やかな色合いが好きで、今回神保町シアターで上映された物もまさにVHS/LDに収録された色合いその物でしたね。

画質に関しては正直言って既存のHDリマスター版より良かったです。既存のHDリマスターがそもそも2012年に発売されたもので、当時のリマスター技術はまだまだ成熟しきってない頃であった為、改めてリマスター作業を行えば同等の画質は得られるんじゃないかと思いますね。多分改めて出すようなことはないでしょうけど。

というわけで、神保町で観た話はおしまいです。本当は観た直後に書こうと思ってたのですが、サボりまくってついに年末に。今後も書きたい時に書く場所となると思います。それでは~。