ベジタブルな尻

ポケモンやドラゴンボールに関することや、気になったこと、日記、備忘録を置いておく場所

HDMIキャプチャーボード『ShadowCast』はモノラル出力されるバグがあったが、直す方法もあった。

今回、KickStaterでこんなものを買ってみました。

簡単に言えば、スティックタイプのHDMIキャプチャーボードです。Amazonなどに似た商品はたくさんありますが、それらは映像の遅延が大きいものが多く、録画用途には利用できましたが、キャプチャーボードを通した画面のみでゲームを遊ぶのには適していないものでした。しかし、この商品は低遅延で出力されるように設計されており、PC上に出力された画面だけでもほぼ問題なく遊べるのがポイントで、実際、遅延はかなり少なかったです。以下、仕様の紹介と使用感について紹介します。

 

この商品はキャプチャーボードという扱いなので、OBSなどのソフトでキャプチャデバイスとして扱うことができますが、発売元のGenki社が用意した専用ソフトも存在します。そちらのほうが難しい設定は不要なのでパソコン使うの難しいよ>< な人はそれ使えばいいと思いますが、基本的にOBS Studioを使うことを推奨します。なんだか分かりませんがOBSの方が遅延が少なかったし、後述する音声の問題にも対応しやすいからです。配信目的の人は特にOBSでいいかと思います。

また、後日いろいろ調べてみると、mpvというオープンソースの動画再生ソフトが、遅延が少ないという検証がredditで挙がっていたことに気が付きました。私も試してみましたが、確かに遅延は一番少ないと思います。しかし、推奨されている設定だと1920x1080で解像度が固定されます。ShadowCastはこの解像度だと60fps出力ができない造りになっているため、フレームレートを犠牲に遅延を限りなく減らしたということになりますね。ただ、本来60fpsのものを正直30fpsでやるのって結構イライラしてくるもので、用途次第では使うかもしれませんが、当ブログではOBS Studioの使用を推奨します。

また、mpvでも設定を変更すれば1280x720 60fps出力することは可能ですが、720p出力だとOBSで720p出力するのと遅延ほぼ変わらない気がします。

mpv1080p出力

OBS1080p出力

mpv720p≒OBS720p

Genki Arcade App

遅延の程度としては所感だとこんなとこ。(下に行くほど遅延ひどい)

一応、720p出力するための引数をここに記載しておきますので、mpv.exeをショートカット化してリンク先のmpv.exe以下に引数を書く、ということが理解できる人は使ってみてください。

 

”mpv.exe --demuxer-lavf-o=video_size=1280x720 av://dshow:video="ShadowCast" --profile=low-latency”

 

 

まず問題の遅延ですが、これは決してゼロではありません。キャプチャーボードという性質上、どうしても遅延は発生します。正確に計測は行っていませんが、大体35~50msほどの遅延を感じました。いろんなゲームを試しに遊んでみましたが、2Dアクション系はこの遅延でも結構操作感に影響が出た一方で、3Dアクションは割と許容できるかなーと感じました。2Dアクションはシビアな操作を要求されるので、遅延があると命取りとなります。3Dアクションはそこらへん割と大雑把でも何とかなるので、そこの違いかなと。付け加えておくと、対戦ゲームはやめたほうがいいです。個人差もあるかと思いますが、少なくともスマブラはきつかったですね。

次に画質ですが、この中から選ぶことが可能です。

f:id:pan2marumie3:20210505131532p:plain
↑Genki社が提供している『Genki Arcade App』のスクショ。コナミコマンドを入力すると解像度とフレームレートが細かく選べるようになるという仕様。最初から開放しとけよ面倒くさい。そもそも起動の度にコマンド再入力しないといけないため、解像度設定が保存されるOBSを使ったほうが良い。

ただし、1920x1080はフレームレートが30fpsに制限されます。個人的な用途としてはPCの画面上に映しながら別ウインドウでブラウザ開きたかったというのが大きいので、1280x720 60fpsで十分でした。1080pキャプチャは映像関係の録画とかに使えそうです。

ちなみに、発売元のGenki社が公表してるカタログスペックでは1920x1080で60fps出力可能と書いてますが、これは嘘です。思いっきり詐欺かもしれませんが、私は面倒なので特に文句は付けませんし、最初のほうのプレスリリースでは1080p30fps制限だよーと書いてあった気もします。だからといって誤った情報を載せてることを肯定するわけではありませんが、私の用途では特に問題ありませんでした。

 

そして音声なのですが、ここに大問題があります。
なんと、音声がモノラルで出力されます。
 今どきモノラルって嘘だろ!?と目を疑ったのですが、どうやら本当にモノラルだけのようでした。

f:id:pan2marumie3:20210505132325p:plain

↑ShadowCastのデバイスマネージャ。1ch 96000Hzにしか対応していません。

これは流石に…と思ったので、どうにかならないか調べたりしました。
結論から言えば、Windowsに限り簡単にステレオ出力する方法がありました。それもご紹介します。

github.com

手順は簡単。ShadowCastをPCに接続した状態で、『mono-to-stereo.exe』を実行するだけです。このソフトは『MS2109』という名前の格安キャプチャーボードの音声がモノラルでしか出力されないバグを修正されるために開発されたもので、Matthew van Eerde's氏が公開したloopback-captureを基にFREEWING氏が簡単なexeファイルに改造したものとなります。FREEWING氏のサイト記事もあるので、そちらも勝手ながらリンクしておきます。

MS2109で有名なバグ、ステレオの音声がモノラルになるのを修正するアプリ mono-to-stereo (MS2109の音声バグを修正する mono-to-stereoをデフォルトで日本語 Windows対応に改造してみた)

別のキャプボ向けのソフトが流用できちゃうってことは、ShadowCastの中身はMS2109をベースにしているのかもしれませんが、深く考えると憎しみが湧いてくるのでそこらへんは無視することにします。とりあえず直ったから良いよね!

このバグに気づいた当初はモノラル修正する方法ねーな!調べたら海外勢も嘆いてるし。かくなるうえはHDMIから音声信号だけ取り出して3.5mmステレオ出力に変換してPCにライン入力するしか…と考えAmazonで機材をポチったのですが、その翌朝にTwitterで検索してみたらMono-to-Stereoについて触れている方がいて、その方は何らかの理由で上手く行ってないようですが、これはもしや!?と思い試してみたら普通にステレオ出力できてひっくり返りました。Amazonで注文したものは無駄になったので、この記事書いてる時点でまだ届いてすらいませんが返品申し込みしておきました。
一応買おうとしていたAmazonの商品もリンクしておきます。Windowsがない人はこの方法で強引にやるのもアリだと思います。それ以外の用途としては別途でオーディオ機材を所有している人にはオススメです。光デジタル出力なんかもできて、結構良い製品だと思うんですよね、これ(開封もせず返品するけど)。

 

ちなみに、Mono-to-Stereoで実際にステレオ出力できた動画もあります。これも置いときます。

 

総括すると、「パソコンの画面上にHDMI経由で映したいけどサブモニターとか分配器用意するの面倒。画質はそれなりでいいか。」という人にはオススメできる商品です。確かGenki社の日本支部もあって、日本でも販売するとか言ってた気がします。
あと、mpvかOBS Studioを使ってください。公式アプリは微妙です。モノラルバグも直せませんし。Genki社の公式Twitterにモノラルバグについてのリプライを飛ばしましたが多分無視される気がします。

2021/05/12追記

公式から返信ありました。仕様とのこと。明記しとけや!

とにかく、モノラルバグは無料で直せちゃうので、割と悪くない商品と言えるでしょう。お金に余裕があるなら、ElgatoのHD60s以上のキャプチャーボードが低遅延で良いらしいので、そっち買ったほうが良いです。多分頑丈でしょうし。中華製品はある程度のリスクを負う覚悟が必要になります。その点を踏まえて、購入を考えてください。ではでは。