ベジタブルな尻

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六本木ヒルズでミュウツーみたよ

2020年11月1日、あの大ヒット映画が東京国際映画祭で上映されました。その映画のタイトルは『ミュウツーの逆襲』。1998年公開当時は異例の大ヒットとなり、海外では日本映画として初めて全米週間興行収入ランキング初登場1位の快挙を成し遂げた誉高き作品である。

旧作ポケモン映画が大好きな私としては、これは行くしかない!と奮い立ち、チケット争奪戦に無事勝利。あとは当日を待つのみとなったのだが…私には一つ気になる点があった。それは今回上映されるのが完全版なのか、はたまた劇場公開版なのか、という点である。何のことか解らない人のために軽く説明をしておくと、『ミュウツーの逆襲』という作品はまず最初に国内で上映されました。この最初に上映されたのが劇場公開版で、映像ソフトとしてVHSとLDに収録して発売されています。そして完全版なのですが、この作品は海外に輸出された際、いくつかのカットにCG処理や作画修正を加えたうえで、冒頭に『ミュウツーの誕生』というプロローグエピソードを追加したものが作られました。

f:id:pan2marumie3:20201102103200j:plainアイツーと子どもの頃のミュウツーの話。元々はラジオドラマで展開されていたエピソードでした。

それをさらに国内に輸入し、TV放送という形で日本人向けには初披露されました。そのバージョンが国内に輸入されてからは、発売される映像ソフトに収録されるバージョンは全て完全版となっています。この2つのバージョンの大きな違いとして、一番大きいのはプロローグの有無なのですが、私個人として注目したいのはCG処理や作画修正の部分です。劇場公開版では手描きだった部分(背景の雲やミュウツー城の扉など)がCGに差し替えられているのですが、当時はCGを使ったアニメーションがまだ発展途上ということもあって、中にはぎこちないカットも見受けられます。そして問題なのは一部の作画修正パートでして、その最たる例がこの煙から出てくるサトシ達のカットで、劇場公開版では1コマ1コマ手描きだったものが、完全版ではただの拡大処理になっているというアニメーションとしては非常につまらないものになっているのです。

とにかく、私にとってはどっちのバージョンが上映されるのかがとても重要なポイントでした。気になって気になって仕方ないので、東京国際映画祭に問い合わせメールを送ってみたところ、以下の返答がありました。

【問合せ内容】
上映予定の『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』についての質問です。
当該作品は過去に『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 完全版』としてビデオでリリースされていますが、第33回国際映画祭では『1998年当時の劇場公開版』『完全版』のどちらを上映する予定なのかを教えていただきたいです。
お忙しい中大変恐縮ですがお答えいただければ幸いです。
 
この度はお問合せいただき誠にありがとうございます。
 
下記、お問合せいただきました内容について回答させていただきます。
今回上映予定の劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲について、
こちらの上映は完全版ではなく、劇場公開当時のものを上映予定でございます。
 
ご連絡遅くなりましたこと、深くお詫び申し上げます。
引き続き東京国際映画祭を宜しくお願いお願いいたします。
 
 

劇場公開当時のものを上映予定でございます…マジで!?完全版じゃなくて!??BD上映じゃないの!?(そこは訊いてない)劇場公開版なんですね!やったー!!!とこれを書いてる数時間前までは思っていましたが、先に言ってしまうとBD版を切り貼りしただけの完全版でした。はい。予想してたけどね。というわけで前置きが非常に長くなりましたが以下レポートです。

 

開演時間は最終公演である20:35から。実は時間までオフ会して駄弁ってたりしました。参加した方々、お疲れ様でした。

私たちが六本木ヒルズのTOHOシネマズに到着したのは開演時間の10分ぐらい前でした。それまでの道に映画祭で上映されるポスター一覧が掲示してあって、ポケモンのところを適当にパシャリ。

f:id:pan2marumie3:20201102104006j:plain入場すると、既に人がたくさん座っている状態。私は後ろの方の席でしたが、割と観やすかったので良かったかな。そして開演時間になると、前座として湯山邦彦監督と松本梨香さん、それとアニポケ放送開始当時からベストウイッシュまでポケモンシリーズのエグゼクティブプロデューサーを担当されていた久保雅一さんなんて珍しい方も登壇して、軽い舞台挨拶が行われました。生で松本さんを初めて見ましたが想像通りのお茶目な方で会場を和ませていましたね。報道陣も居たので多分舞台挨拶は記事や映像がUPされてると思いますよ。個人的には湯山さんのポケモンという作品への捉え方がドンピシャでいいなと思いました。「子どもの頃に虫取りとかしてた思い出が…」といった趣旨の話をされていましたが、ポケモンの初代ってまさにそういう思想で田尻智が作ったんですよね。こういう話は『ポケモンをつくった男 田尻智』とかに載ってるのでご興味があればご一読ください。

そして15分くらいだったか、そんぐらいで舞台挨拶が終了し、ついに照明が落とされ本編が始まりました!この時までは劇場公開版を期待してます。だけど先ほど申し上げた通りこれは完全版でして、冒頭の最初の最初に気泡が画面を通過するカットがあるんですが、それが流れた瞬間「あ、完全版だ…」と内心酷くショックを受けましたね。

まあともかく劇場で観れる機会なんて滅多にないし…と気持ちを切り替えることにしたんですが、一つだけ完全に予想外のことがありました。それは英字幕が表示されることです。よくよく考えれば『東京"国際"映画祭』なのですから当然なんですが、予想してなかったのでちょっとびっくり。しかしその英字幕を追っていると「あれ。日本語と全然違うじゃん」となって来ました。だがしかしこれが何なのかもすぐ私は判りましたよ。明らかに北米版のセリフそのままでした。要するに手抜きですね。なんかさらにショックでしたが、とりあえず最後まで観ることにしました。本編自体のストーリーは割愛します。でも文句は割愛できませんよ!
※2020/11/11補足 北米版の何が悪いのかというと、北米向けにアニポケコンテンツを展開していた4Kidsという会社はオリジナルの表現やセリフを子供向けに改悪改変する傾向がありました。例にもれずアニポケも改変が行われており、逆襲に関してはミュウツーが単なる悪いポケモンになってしまっているなどオリジナル版を先に知っている身としては最低な改変。

まず画質が悪かった。BD版と全く同一で、これは7年前にも地上波で放送されたり、今でもCSのキッズステーションではBD版で使われた映像ソースが使用されています。このBD版の画質のどこが悪いかというと、セル画撮影した部分のシャープネスが低くて線がボケボケな事です。BD版自体が2012年ぐらいに発売されたものなので、リマスター技術がまだ発展途上段階だったという側面は大きいと思うのですが、劇場のスクリーンに耐えられるような画質ではなかったですね。ちなみにEDは綺麗な画質だったりするので、本編のネガがもしかして無いのではとこっそり疑ってたり。

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1枚目はデジタルで処理されているカットなのでクッキリ写っていますが、アナログ処理のカットは少しボケた感じに写っています。


次に来るのはやはり完全版を劇場公開版と言い張った(私個人宛ですが)ことですかね。ここは本当に期待してたんですよ。だって映像ソフト化されたのがVHSとLDだけで、画質が良いのはLD版なのですがLDプレイヤーなんて持ってねえよ!(そもそもLD版が中々出回らなかったり)とにかくLDなんて持ってないし再生できないんです。VHSは環境ありますけど画質面ではLDに圧倒的に劣るので、画質や音質が体感で判らないとしても最高を追求したい性分である私にとってはマイナスポイントなわけです。そんなレアバージョンが劇場の大画面で観れるかもしれない!となればテンションが上がりまくりでございまして…それでも東京国際映画祭の運営を全面的に信用してるわけじゃなかったので、半信半疑ではありました。

さらに細かいことを言えば上映されたものはBD版をカット編集して劇場公開版の尺を再現しただけなので、エンディングクレジットにはしっかり「ミュウツーの誕生 キャスト」の文字がハッキリと載っていました。いやいやいや流してないもんのテロップは消しとけよ!と思ってしまうのが私でございます。

f:id:pan2marumie3:20201102104324j:plainこういう所の詰めが甘いんだよね。

それでも、やはり映画館で観れたメリットは大きかったです。先ほどの発言と食い違うようで申し訳ないのですが、大画面で観賞できたことの嬉しさはありましたね。この作品が上映されたのなんて僕が生まれる前なので、当然TV画面を通してしか観ることは叶いませんでした。しかし映画館で上映されるということは公開当時のフォーマットに限りなく近いということであり、その点の感動というものはありましたね。当時を追体験できたような気分に浸れたのは良かったです。そして何より音響ですね。音響ばかりは自宅ではかなり厳しいものがあり、映画館と同等のサラウンド環境の構築など私には到底無理でした。なので今回初めてサラウンド音声を体験したのですが、これが非常に素晴らしい。特に効果音周りは自宅のスピーカーやヘッドホンでは味わえないような奥行きを感じましたね。劇伴も「あの音色だけ右後ぐらいから聴こえる!」などかなり興奮していました。特に『対決!本物対コピーポケモン』『乱れ飛ぶモンスターボール』この2曲が大好きなのでテンション上がりましたね。本当に良かった。

というわけで観終わりました。観賞後は「完全版だったんですけど!」「音響良かった!」「改めて観たけどオチはあっさりしてるね」などのトークをオフ会メンバーとしながら盛り上がりつつ、それぞれ帰宅となりました。今この部分を書いている時点で11月2日の1時を過ぎた頃ですが、結構まだ興奮している感じです。今日がたまたま休みというのもあるので、とりあえず一度寝てから投稿してると思います。それではそろそろレポートも終わろうかな。あ、隣の席に座ってたお姉さん、興奮するのは良いけど上映中にスクリーンに向かって指を指すのはやめて下さい。視界に入ってウザいから!!!!!!

それじゃ、明日のディアパルダークライも観に行くので、またね